損して得取れ

損して得取れ、という言葉が僕の頭の中の比較的出しやすい引き出しに入っている。今の考え方のベースになっているのかもしれない。他の人よりも良くない結果になったり、不遇な状態になっても、それが自然の摂理で何かしら意味があるのだろう、いずれは巡り巡っていい方向に進むだろうと思っている。お人好しすぎると言われることもあるが、自分で自分のことをお人好しだと思ったことはない。腹黒くて裏表があり確信犯な性格だと思っている。

損して得取れは、20代の最後の頃、お客様から言われた言葉だ。何かのクレームで揉めた時にお客様も引けない状況、僕も引けない状況になった際、今は損かもしれないが先々の事を考えれば、最終的には得をすることだってあるんだよ、と学ばせてもらった。そのお客様とはその後しばらく、年賀状を交わす間柄になり、飲みに行ったりしたが、今はもう80くらいだろうか。全く交流がなくなってしまった。ひょっとしたらお亡くなりになっているかもしれない。

生きていると色々な事がある。人と関わると色々な事がある。そんな時、何かの選択をしないといけない時、例えその結果がよくなかったとしても、損して得取れって事で、今回は良くなかったが、次はいい事もあるだろう、そのうちに運は巡ってくるだろうと、寛大に考える事があまりストレスを感じずに生きていけている理由なのかもしれない。

人はこんな僕をお人好しすぎると言う。損して得取るつもりなのだが。